【MAQUIA ONLINE】KinKi Kids 『24451〜君と僕の声〜』ライブレポート同じ時代を生きる幸せを噛み締めて
今年でCDデビュー25周年を迎えたKinKi Kidsが、その記念となるドーム公演『24451〜君と僕の声〜』を大阪&東京で開催。全4公演・合計20万人を動員した壮大なイベントを締めくくる8月7日の東京ドーム公演に、MAQUIAスタッフも参加してきました。デビュー時からKinKi Kidsを見守るエディターS&ライブは初参戦となるライターM、それぞれの目線を通したリアルなレポートをお届けします。
過去と今、そして未来を繋ぐ2人の”声”が響き渡った夜
今回は25周年のメモリアルなイベントということもあり、歴史を感じさせる演出が満載。デビュー当時からの歩みを振り返る映像が流れると、2人のイメージカラーである赤と青でライトアップされたステージ上に彼らがこれまで着用した100着以上の衣装がズラリ。25年という時間の重みを実感する中登場した2人が、歌い出す前にハイタッチを交わす姿も印象的でした。
構成も、それぞれの楽曲に対する思い出を語りながらKinKi Kidsの音楽活動の軌跡を辿っていくシンプルな形式。”ターニングポイントとなった楽曲”、”自分たちで手がけた楽曲”などのテーマで選び出された楽曲たちを、一語一語の歌詩を噛みしめるように誠実に歌い上げる2人。その一方で、トークゾーンでは楽曲を発表した当時の意外なエピソードや歌詩に対する過激な(?)ツッコミも飛び出し、会場も拍手で応え大盛り上がり。感染対策で歓声をあげることができない状況でも会場のボルテージをグングン上げていく、彼らの圧倒的な存在感に改めて驚かされたのでした。
ライターM:KinKi Kidsのお二人とは同世代なので、25年間を駆け抜ける冒頭の映像は感慨深いものが。とはいえ、大げさな演出をするわけではなく終始リラックスしたムードで、二人の間に流れるゆったりとした空気感から熟成された関係性が伝わってきました。
エディターS:セルフライナーノーツのように解説してから歌うというスタイルは、当時どのように楽曲を解釈していたのか、それが今向き合うとどのように映るのか、捉え方の深さが垣間見えたし、”改めてみんなに伝えたい”という思いも伝わってきました。歌の中で時空を行き来するような、彼らと一緒に旅をする感覚の構成になっていた気がします。
色褪せることのない名曲が並ぶ、圧巻のセットリスト
イベントで披露された楽曲は全14曲。オープニングを飾った「FRIENDS」は、彼らがデビュー前から歌ってきた曲。剛さんの「KinKi Kidsと共に曲も年を重ねて、(当時は)素通りしていた歌詞にも人生を投影できるようになった」という言葉にも表れているように、どこか今の2人を思わせるようなフレーズも。続いて「歌いこなすのが難しい」と語っていた「Kissからはじまるミステリー」をはじめとする山下達郎さん作の3曲、竹内まりやさん提供の楽曲を歌い切った2人は、ジャニーさんから初めて渡された曲だという「たよりにしてまっせ」を、当時の振り付けを交えながら楽しそうに熱唱。また、この日は会場に来られなかったファンとイベントの空気を共有するために、公式YouTube用に「Hey! みんな元気かい?」を歌う一幕も。
さらに、彼らがターニングポイントだと語る「ボクの背中には羽根がある」や、剛さんがギターをかき鳴らし光一さんが華麗に舞う「薔薇と太陽」を披露。大人の色気を感じる艶やかなパフォーマンスで会場を沸かせました。踊り終えた光一さんもギターを手にすると、弾き語りタイムに突入。2人が初めて作詩作曲を担当した「好きになってく 愛してく」や、後輩にも歌い継がれていくだろう名曲「愛のかたまり」を演奏して観客の心をつかんだ後は、2人でフロートに乗り込み外周へ。ピアノの優しい音色と共に「Anniversary」など2曲を情感たっぷりに歌い、最後はステージに戻って25周年記念ソングである「Amazing Love」でフィナーレ。会場で配られた色とりどりのペンライトを曲に合わせて振ることで客席にたくさんの虹がかかる演出に、観客はもちろん、KinKi Kidsの2人も幸せそうな表情を見せていました。
ライターM:ほとんどの曲が一緒に口ずさめるほど大ヒットナンバーのオンパレードで、彼らが国民的なアーティストであることを実感。「(曲をもらった当時は)もっと派手な曲がいいなと思ったりもしたけれど、今聴くと本当にいい曲!」と2人も語っていたように、月日を重ねることでむしろ言葉や曲がより色鮮やかに感じられる気が。曲の中に描かれた世界が浮かび上がってくるような表現力も素晴らしく、様々なアーティストの方が彼らに難易度の高い曲を提供したくなるのも納得がいきます。
エディターS:どの曲から始まるのだろうとあれこれ予想していたのですが、原点ともいえる「FRIENDS」だったことには感涙。ドラマティックで心揺さぶられる「愛のかたまり」、今度こそ2人が揃った喜びの中で聴ける「Anniversary」など、多彩かつ濃密で、ひとつひとつが”これぞKinKi Kids”。さらに新しい彼ららしさが見える曲も加わり、希望に満ちたムードの中、みんなでかけた光の虹は、またひとつ忘れられない光景になりそうです。
阿吽の呼吸を超えた!? 絶妙な間合いの思い出トーク
トークゾーンでは、2人の息のあったやりとりに会場もほっこり。中でも会話が白熱したのは、「たよりにしてまっせ」の歌詩と振り付けについて。歌詩に出てくる関西弁を「大阪でもこういう言い回しはしないのでこそばゆかった」と語る剛さん。”ゴジャゴジャ言わんとまかしとき”の独特な節回しも、実はかなり恥ずかしかったそう。一方、光一さんは振り付けに思い入れがあるようで、当時を思い出して再現する剛さんを見て「この腰使い、剛くんっぽい!!」と会場の誰よりも盛り上がっていました。
また、「薄荷キャンディー」の歌詩に対しても一言物申したかった様子の光一さんは、「”白い歯 舌見せて微笑う”ってどんな顔か見せて」と剛さんにおねだり。「歯を見せようとして口角を上げるほど歯がめり込んでいく……」と悩む剛さんと共に5分以上議論を続け、「この歌詩についてはこれからも検証していく」という結論に達した2人。最終的にはYouTubeで”白い歯 舌見せて微笑う選手権”を開催するというアイディアも飛び出し、会場を爆笑の渦に巻き込んだのでした。
ライターM:飄々とした剛さん&テンション高めの光一さんのバランスが絶妙で、WボケでありながらWツッコミもできる点が彼らの強み。当時はこっそり話していたであろう歌詩へのツッコミをなんとも楽しそうに語っている姿に、25年の月日の重みを感じました。
エディターS:光一さんは思ったことをどんどん発言するタイプ。暴走する光一さんを剛さんが楽しそうに見ていることもあれば逆のパターンもあって、その空気感が面白いんですよね。なんて事のない雑談からどんどん話が転がっていくのが2人のすごいところ。面白いツボを見つけたらとことん広げていく感じが彼らのトークの醍醐味だと思います。
魂と歌声が呼応する、宿命的アシンメトリー
イベントの最後に、スタッフやバンドメンバーへの感謝の言葉を口にした2人。さらに、光一さんが「こうして安全にライブができることを示してくれた皆さんに、我々からも拍手を」と5万人の観客に語りかけると、剛さんも「大変な時代に会いに来てくれたたくさんの方々、そして今回会場に来られなかった方々、皆さんと僕らの人生が繋がっていることを深く感じた4日間でした。この幸せをしっかりと噛み締めて、これからも新しいステージを作っていきたいと思います」と晴れやかな笑顔に。「また冬にここで会いましょう!」と再会を約束した彼らは、去り際に2人の指を合わせて「K」のハンドサインを披露。会場を埋め尽くした5万人の心をさらに鷲掴みにして、ステージを後にしたのでした。
ライターM:今回のイベントで再確認したのが、KinKi Kidsというデュオが持つ唯一無二な個性。衣装ひとつとっても、光一さんが王子様風のロングジャケットなのに対し、剛さんはメッシュトップスにブルゾンというカジュアルな出で立ち。フロートで外周を回る時も、全身を使って会場全体に大きく手を振る剛さん&一切手を振らずに一人一人をじーっと見据える光一さんと、あらゆる点が対照的で……。それでいて、ひとたびマイクを握ると歌声がピタリとフィットするのも魅力的。苗字が同じという点以外はまるで異なる2人がデュオとして25年という時間を積み重ねてきたことに、宿命の存在を感じました。
エディターS:「変わっていきながら、巡り会う。計算しては作れないところがまた人生の旨みだし、喜びがある」という剛さんの言葉が印象的でしたが、そこにKinKi Kidsの魅力のひとつが表れていると思います。「ずっと歌える曲を数々いただいている」と光一さんが語るように永遠性のある楽曲を、それぞれに個性や表現を磨き、人生を重ねて変わりゆく2人が歌う。そこに生まれる奇跡に惹きつけられるし、何度でも聴きたくなるのかもしれません。